ミスチル曲をAIに読ませて、毎朝1フレーズLINEに届ける仕組みを作った
毎朝10時、ラズパイが1台、黙々と動いています。Mr.Childrenの曲の歌詞データをAIに読み込ませ、その日の”聴き手キャラ”に合わせてエッセンスを書き直し、私のLINEに1フレーズだけ届ける——ただそれだけの仕組みです。
月の電気代は100円以下、クラウドサブスクはゼロ円。それでも半年間、365日欠かさず動き続けています。
——こう書くと大層に聞こえますが、やっていることは「Python+cron+3つの無料API」を組み合わせているだけ。初期投資1.5万円、コード500行。副業の自動化に興味はあるけれど「何を作ればいいか分からない」という人が、週末に手をつけられる規模です。
この記事では、なぜ30年来のミスチルファンの私がこんな個人的すぎるシステムを自作したのか、どう動いているのか、半年運用して気づいた3つの副産物をお伝えします。コードの全文と環境構築手順は記事末尾のnoteで全公開中なので、自分の偏愛に置き換えて実装したい方はそちらもどうぞ。

AIが生成するフレーズは、たとえばこんな感じです(※実際の運用で届いた日の例をイメージしています)。
- 月曜の朝:「疲れ切った月曜の朝こそ、昨日の自分より半歩だけ前に出てみる。」
- 水曜の夜:「未来を予言できないからこそ、今日の一音が価値を持つ。」
- 金曜の朝:「あの頃、何も持っていなかった僕に、今の自分はなんて声をかけるだろう。」
これらはミスチルの歌詞そのものではありません。 AIが全253曲の歌詞データを読み込んだ上で、その日の”聴き手キャラ設定”に合わせて、エッセンスだけを抽出して書き直したオリジナルの一文です。
だからSNSにシェアしても著作権の問題は起きませんし、何より「自分だけに向けて書かれた言葉」として毎朝受け取れます。これが想像以上に効きました。

え、これ全部AIが作ってるんですか?ミスチルの歌詞かと思った

そうなんです。歌詞の”核”だけをAIが取り出して、別の言葉で再構成してくれてるんですよ
動かしている物理装置はラズパイ1台だけ
この仕組みを支えているのは、部屋の隅に置いた手のひらサイズのラズパイ(Raspberry Pi 4)1台です。
メインPCを24時間つけっぱなしにするわけにもいかず、クラウドのサーバーを借りれば月額数千円かかる——そんな中で、ラズパイは「1.5万円で雇える、もう1人の自分」として最適な選択肢でした。


1.5万円でこれが動くって、サブスク何本分の節約になるんやろ

実は副業系のサブスクを月1,500円でも契約してたら、10ヶ月でペイする計算なんですよね
偏愛は、汎用サービスでは満たせない
「毎朝AIが名言を届けてくれるアプリ」なら、世の中にいくらでもあります。格言Bot、名言アプリ、おみくじ系サービス——どれも優秀です。
でも、こう考えてみてください。
「Mr.Childrenの歌詞を、作曲家視点で再解釈して、疲れた40代会社員の視点で書き直して毎朝届ける」——こんな機能、既存サービスに存在しますか?
存在しません。なぜなら、それは私個人の偏愛すぎる要求だからです。
「偏愛」に対応できるのは自作システムだけ
ここが副業自動化の入口として、意外と見落とされているポイントだと思っています。
汎用サービスは「最大多数の最大公約数」を狙って設計されます。だからこそ安くて便利ですが、あなた個人の偏愛にはピンポイントで刺さらないのです。
一方、自作システムは違います。
この「完全にあなた仕様」を月額0円で動かせるのが、ラズパイ×Pythonの組み合わせです。

でも、自作って難しそう…プログラミングの才能がないとダメじゃない?

]実は今回の仕組み、コード自体は3つの無料APIを順番に叩いてるだけなんです。AIにコードを書かせれば、プログラミング経験ゼロでも組めます
サブスク型との「長期コスト比較」
副業の自動化でよくある失敗が、便利なSaaSを次々契約して、気づけば月の固定費が1万円超——というパターンです。
| 選択肢 | 初期費用 | 3年間のランニング | 3年合計 |
|---|---|---|---|
| 月額1,500円のSaaS×1 | 0円 | 54,000円 | 54,000円 |
| 月額1,500円のSaaS×3 | 0円 | 162,000円 | 162,000円 |
| ラズパイ自作(今回の仕組み) | 15,000円 | 約2,880円(電気代) | 約18,000円 |
ラズパイは一度組めば、その後は電気代しかかかりません。「自動化したのに固定費で利益が消える」という副業あるあるから根本的に解放されるのが、自作の最大のメリットです。


わしみたいな会社員でも、1.5万円の初期投資くらいなら家族に言い訳立つな…

それも大事なポイントです。月額サブスクって家族に説明しづらいんですよね

技術スタックは拍子抜けするほどシンプル
実際にこのシステムがどう動いているのか、全体像を見ていきましょう。
[cron 毎朝10:00]
↓
[ラズパイ上のPythonスクリプト]
├→ Microsoft Graph API(OneNote) ← 曜日ごとのキャラ設定を読む
├→ mrchildren_lyrics.txt ← 歌詞データを読む
├→ Gemini API(gemini-2.5-flash) ← AIにフレーズを3つ生成させる
├→ Google Sheets API ← 生成フレーズを蓄積
└→ LINE Messaging API ← カルーセル形式でプッシュ通知
やっていることは、無料APIを3〜4個、順番に叩いているだけです。
使っている技術スタックの一覧
| レイヤー | 使用技術 | 費用 |
|---|---|---|
| ハード | Raspberry Pi 4(4GB) | 初期1.5万円のみ |
| OS | Raspberry Pi OS | 無料 |
| 言語 | Python 3 | 無料 |
| 生成AI | Gemini 2.5 Flash | 無料枠で十分 |
| 通知 | LINE Messaging API | 無料(月1,000通まで) |
| 素材管理 | Microsoft Graph API(OneNote) | 無料 |
| 蓄積先 | Google Sheets API | 無料 |
| 定時実行 | cron | OS標準 |
初期投資1.5万円以外、1円もかかっていません。 個人の副業用途なら、API利用料も月数百円以内に収まるのが普通です。

「500行」と聞いて怯まないでほしい
コード全体は約500行ありますが、内訳を見ると印象が変わります。
実質的なロジックは200行程度。しかも、最近はAIにコードを書かせれば、Python未経験者でも動くものが組めてしまう時代です。

ぼく、プログラミングやったことないけど、これAIに頼めば作れちゃうってこと?

全部ゼロから書く必要はないんです。noteの記事では動作確認済みのコードを全部載せてるので、コピペでまず動かして、そこから自分流に改造していくのが現実的です

同じ曲でも、誰の視点で聴くかで意味が変わる
ここからが、このシステムの一番お気に入りのポイントです。
私は曜日ごとに、AIに別のキャラを演じさせています。同じミスチルの曲でも、誰の視点で聴くかによって届くフレーズが変わるのです。
曜日×キャラクターの対応表
| 曜日 | キャラ設定 | 届くフレーズの例 |
|---|---|---|
| 月 | 疲れた40代会社員視点 | 週の始まりの憂鬱に、そっと寄り添う一文 |
| 火 | 20代・夢を追う若者視点 | 勢いとエネルギーを感じる一文 |
| 水 | 悲しみに寄り添う詩人視点 | 心の奥に沁みる、静かな一文 |
| 木 | 希望に満ちた伝道師視点 | 明日を信じたくなる一文 |
| 金 | 知的な評論家視点 | 構造的に歌詞を読み解く一文 |
| 土 | 無邪気な子ども視点 | 肩の力が抜ける軽やかな一文 |
| 日 | 達観した老境視点 | 人生をやや引いて眺める一文 |
同じ『Tomorrow never knows』でも、月曜と金曜では全く違う顔で届きます。 月曜は「疲れた自分を励ます一文」として、金曜は「コード進行と歌詞構造を分析した一文」として。
30年間聴き続けてきたミスチルの曲に、いまだに新しい扉があることを、このシステムを動かしてから何度も体験しました。

え、同じ曲なのに別々の解釈が出てくるの?面白すぎる

そうなんです。作詞家の桜井さんが30年前に書いた言葉が、AIの視点フィルターを通すとまた新しい顔を見せてくれる。これはファンとしても新鮮でした
実装は「設定の外出し」だけ
「曜日ごとにAIのキャラを変える」と聞くと複雑そうですが、実装は拍子抜けするほどシンプルです。
たったこれだけ。しかもOneNote側は文章で書くだけなので、プログラミング知識ゼロでもキャラを自由に育てられます。
「今週は水曜のキャラがいまいち刺さらないな」と思ったら、OneNoteの文面を書き換えるだけ。ノーコードでAIの人格を調整できるわけです。

OneNoteに書くだけで変えられるなら、私にも触れそうね

ここが自作の強みなんです。サブスクでは絶対にできない”自分仕様”が、テキストファイルの書き換えだけで実現できます
このシステムを動かし始めて3か月が経ちました。当初の目的は「ミスチルの言葉を毎朝浴びる」ことだったのですが、運用してみると想定外の副産物が3つ生まれていました。
副産物①:作詞のインスピレーションが勝手に蓄積される
生成されたフレーズは、毎日Googleスプレッドシートに自動で蓄積されていきます。半年で”約550行の”オリジナル詩的フレーズ集”がいつの間にか完成していました。
私は普段、自作曲の作詞もするのですが、作詞で詰まったときにこのスプレッドシートを眺めると、驚くほどヒントが転がっています。ミスチルのエッセンスをAIが”脱色”したフレーズたちは、そのまま使うのではなく、種として機能するのです。
「ミスチルの言葉を浴びる → 自分の言葉が出てくる」という循環が、意図せず出来上がっていました。


副産物②:ミスチルが”日常”に戻ってきた
正直に告白すると、このシステムを作る前、私は能動的にミスチルを聴く回数が減っていました。
サブスクで何でも聴ける時代になって、かえって「今日は何を聴こう」と選ぶのが億劫になり、結果的に新譜も旧譜も流さない日が増えていたんです。30年来のファンなのに、です。
でも、毎朝10時にLINEが震えて、今日の1フレーズが届くようになってから、通勤電車でそのフレーズの元ネタ曲をプレイリストから探して聴くという小さな習慣が復活しました。
システムが”きっかけ”を作ってくれるので、能動的に選ぶ脳の負荷がゼロ。**「好きなものを好きでい続けるための装置」**として、想定以上に機能しています。

わしも昔好きだったバンド、最近全然聴いてへんなぁ…

忙しい40代こそ、能動的に聴く時間が削られがちなんですよね。だから”向こうから来る”仕組みが効くんです
副産物③:他の偏愛にも横展開できる汎用基盤になった
このシステム、素材データを差し替えるだけで別の用途に化けます。
私自身、すでにこう横展開しています。
1つ動く基盤ができれば、派生は驚くほど短時間で組めます。「偏愛の自動化OS」とでも呼ぶべき存在になっているのが、当初は予想していなかった最大の副産物かもしれません。

ぼくも好きなアニメのセリフでやってみたい!

それ、めちゃくちゃいいですね。偏愛こそ自動化する価値がありますよ
最大の難所は意外なところにあった
ここまで読んで「自分でも作ってみたい」と思った方へ、実装の入口をお伝えします。
本当の詰まりどころはGeminiでもLINEでもなかった
このシステムを組んだとき、半日以上溶かした難所が1つだけあります。それはMicrosoft Graph APIのリフレッシュトークン管理です。
ネットの情報が断片的で、古い手順と新しい手順が混在しており、公式ドキュメントを行き来しても「どの順番でやれば動くのか」が見えない——そんな状況でした。
noteの記事では、この溶かした半日を丸ごとあなたに譲る形で、完全な手順を載せています。
noteで手に入るもの
- 動いているPythonコード全文(約500行、コピペで動く)
- Microsoft Graph APIのリフレッシュトークン取得完全手順(最大の難所)
- Gemini新SDK(
google-genai)での呼び出しコード - LINEカルーセル型プッシュ通知の実装
- Googleスプレッドシート連携(サービスアカウント認証込み)
- cron設定とトラブルシューティング
- 応用編5選(読書メモ版・Fitbit連携版など)
noteの公開版は「映画の名セリフ版」ですが
現在noteで公開しているのは、素材を「映画の名セリフ」にしたバージョンです。ただし、本記事で紹介したミスチル版とコードの骨格は完全に同じ。
movie_quotes.txt→mrchildren_lyrics.txtに差し替える- OneNoteの曜日別キャラ設定を「ミスチル用」に書き換える
この2点だけで、あなた専用のミスチル版が動きます。もちろん、あなたの偏愛が「マンガのセリフ」「小説の一節」「お気に入りの落語のオチ」なら、そちらに差し替えてもOKです。

半日溶かした手順を、あなたの週末に譲ります。
「稼ぐ自動化」の前に、「好きを浴びる自動化」を
最後に、この記事の要点を3つに絞って振り返ります。
- 既存サブスクでは満たせない「偏愛」こそ、自作システムの出番。ミスチル全253曲をAIに読ませて毎朝1フレーズ届けるような個人的すぎる用途は、自分で組むしかない
- 技術スタックは拍子抜けするほどシンプル。Python+cron+無料API3つで、初期投資1.5万円・月額0円で動く
- 偏愛の自動化は副産物が大きい。作詞のインスピレーション、好きなものを好きでい続ける習慣、他用途への横展開基盤——すべてが勝手に育っていく
副業の自動化というと、多くの人が「稼ぐ仕組み」から入ろうとします。でも、稼ぐ前に”好きを浴びる仕組み”から入ったほうが、技術が楽しく身につき、挫折しにくい——これが半年運用してたどり着いた結論です。
結果的にPython・API・cronが自然と手に馴染み、収益化の自動化にも応用できる状態になりました。遠回りのようで、実はこれが近道だったと思っています。
あなたの偏愛は何ですか? まずはそれを、毎朝自分に届ける仕組みから始めてみてください。

「偏愛から入る」って、なんだか続けられそうな気がするわ

楽しくないと続かないですから。副業の自動化も、実は同じなんですよ
📘 この記事の続きはnoteで
実装コード全文・環境構築手順・cron設定・応用編5選まで、すべてnote有料記事に収録しています。
素材を差し替えれば、あなたの偏愛版がそのまま動きます。


※コメントは最大500文字、5回まで送信できます