豆盆栽の自動監視で見えた、ラズパイの”じわじわ効いてくる”魅力|会社員が毎日2枚、ただ撮り続けた話
部屋の隅に、手のひらに乗るサイズの豆盆栽があります。その横に、同じくらい小さなラズパイ。毎日0時と正午、ラズパイに繋いだカメラがカシャッと無音でシャッターを切り、撮れた画像はそのままOneDriveに飛んでいきLINE通知が届きます。
私は何もしていません。水やりの時に眺めるだけ。でも気づけば、3か月の「豆盆栽が少しずつ育っていく記録」がクラウドに積み上がっていました。
正直に言うと、最初は「自動化の練習台」のつもりでした。ラズパイを買ったはいいものの、いきなりAI連携やLINE通知を組むのは難しそうで、「まずは一番単純なやつから」と選んだのが定点カメラだったんです。
ところが、この一番地味な仕組みが、私に自動化の本当の魅力を教えてくれました。本記事では、豆盆栽を題材に、会社員副業者がラズパイから受け取れる”じわじわ効いてくる価値”について、実体験ベースでお話しします。
ラズパイを買った直後、私は完全に手が止まっていました。ネットで調べるとAI連携やLINE通知の記事がずらっと出てくるんですが、どれも「まず環境構築が…」「APIキーを取得して…」と、最初の一歩がやたらと高く感じるんです。本業を終えた22時から手をつけるには、正直しんどい。
そこで発想を変えました。「いきなり難しいことをやるんじゃなくて、一番単純で、でも毎日動くものから始めよう」と。
候補はいくつかありました。室温の記録、ネットワークの疎通確認、ニュースの取得。でも最終的に選んだのは、机の上にあった豆盆栽を撮影することでした。理由は3つ。毎日”変化”が生まれる被写体であること、撮影に失敗しても誰も困らないこと、そして何より——撮った写真を見返すのが楽しそうだったからです。パソコンモニターのデッドスペースに豆盆栽を育てる場所を作ることにしました。

わし、もっと実用的なやつから始めなあかんのかと思っとった…

むしろ逆なんですよね。最初は”失敗してもいい題材”を選ぶのが続けるコツなんです。

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仕組みの中身を先にお見せします。やっていることはたった3つです。
この一連の流れを、cronという仕組みで毎日0時と正午に自動実行しているだけです。プログラム本体は、Pythonで数百行。GeminiやCopilotなど使えば簡単に構築できます。豆盆栽の写真が、撮影日時のファイル名で勝手に積み上がっていきます。
私がやるのは、毎日スマホに送られてくるLINE通知をクリックしてOneDriveを覗くこと。それだけです。毎日「芽がでてるかな~」とLINEが楽しみです♪

Pythonって聞くだけで難しそうに感じるわ…

定点カメラの部分だけなら、本当に短いんですよ。Geminiでプロンプト書いてコピペでできますよ!
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ここまで読んで「じゃあCopilotに聞けば簡単に始められるんだ」と思われた方、半分正解で半分ハズレです。撮るだけと言いつつ、私はこの仕組みを動かすまでに3つの壁にぶつかりました。AIに聞いても解決しなかった、あるいはAIを使っても1週間かかった——そんな泥臭い部分だけを正直に書きます。
壁①:USBカメラをどう固定するか問題(100均の発泡スチロール作戦)
最初にぶつかったのは、技術的な話ではなく物理的な問題でした。そう、カメラの固定です。
定点撮影なので、毎回ぴったり同じ位置・同じ角度で撮れないと意味がありません。ところがUSBカメラって、固定することをあまり想定されていない作りなんですよね。適当に置くとコロンと倒れるし、クリップで挟めば角度がずれる。専用のスタンドを買うと地味に千円以上かかる。
私がたどり着いた答えは、100均の発泡スチロールブロックとマジックテープでした。
発泡スチロールを豆盆栽の横に置ける適当なサイズにカッターで切り出し、そこにマジックテープでUSBカメラをペタッと貼り付けるだけ。たったこれだけなんですが、これが自分で言うのもなんですが秀逸でした。
発泡スチロールは軽いのに安定していて、角度調整もカッターでちょっと削るだけで自由自在。マジックテープなので掃除の時は剥がせるし、位置を微調整したくなったら貼り直せばいい。合計コストは220円です。専用のカメラアームを買う前に、一度100均を覗いてみてください。

発泡スチロール…?そんなので大丈夫なの?

それが意外といけるんですよね。3か月たっても問題ないです!

壁②:照明問題——”撮る瞬間だけ明るくしたい”という贅沢
次にぶつかったのが照明です。豆盆栽のために常時ライトを点灯しているんですが、定点撮影との相性を考えると悩ましい問題が出てきました。
常時ライトだけだと光量が足りなくて、撮影した写真がどうしても暗いんです。かといって、撮影用の明るいライトを24時間つけっぱなしにすると、今度は豆盆栽側が消耗してしまう。電気代ももったいない。
理想は、撮影する0時と正午の一瞬だけ、明るめの照明が当たることです。頭では分かっているんですが、これを実現するにはスマートプラグやリレー回路を組む必要があって、正直まだ手を出せていません。
現状は「常時ライトの位置を微調整して、なるべく均一に当たるようにする」という力技で妥協しています。ここはこの記事時点での未解決課題として、正直に書いておきます。もし良いアイデアがある方がいたら、ぜひ教えてください。いずれ続編で「照明の自動オンオフを組んだ話」を書きたいと思っています。

完璧じゃないのに記事にしてええんか?

むしろ完璧じゃないから書くんですよ。副業って、完成してから発信してたら一生発信できないですから。
壁③:写真→OneDrive→LINE通知のコードで1週間溶かした話
3つ目が、一番しんどかった壁です。仕組みの流れ自体はシンプルで、「ラズパイで写真を撮る→OneDriveにアップロードする→LINEに”撮れたよ”と通知する」。これだけなんですが、動くまでに丸1週間かかりました。
最初は「Copilotに聞けば一発でしょ」と甘く見ていました。ところが実際にコードを書いてもらって貼り付けて実行すると、エラー、エラー、またエラー。OneDriveの認証周りでつまずき、LINE Messaging APIのトークンの扱いでつまずき、撮影したファイルのパスがずれてアップロードが空振り——。
毎晩22時から寝る直前まで、エラーメッセージをCopilotに貼って「これどういう意味?」「じゃあどう直せばいい?」と聞いては、少しずつ進めていく日々。1日に前進できるのは、ほんの1ステップだけ。正直、途中で何度も「ホントにできんのか・・」と思いました。
それでもやめなかったのは、ここで諦めたら永遠に自動化ができないと分かっていたからです。ラズパイが動かない限り、私の副業の景色は変わらない。それだけが、夜中の折れそうな心を支えていました。
1週間目のある夜——LINEに「撮影完了しました」の通知が届いた瞬間、本当に飛び上がりました。深夜0時、豆盆栽の写真がOneDriveに上がり、その通知が自分のスマホに届く。たったそれだけのことなんですが、自分が書いたコードで、自分の部屋の物理世界が動いたという感動は、ちょっと言葉にしづらいものがありました。
この瞬間に、私は「自動化は自分にもできる」という確信を手に入れました。半年経った今も、副業の自動化を組む時には、あの夜のLINE通知を思い出します。

1週間かかっても、最後動いたら嬉しいんだね。

めちゃくちゃ嬉しいです。この”動いた瞬間の感動”は、サブスクを契約しても絶対に手に入らないものなんですよね。


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ここからが本題です。豆盆栽を毎日撮るだけ、という地味な自動化を半年続けた結果、ラズパイの魅力が私の中ではっきり3つに整理されました。
① “続ける”という行為そのものが自動化される
人間が手動で毎日2回、決まった時刻に豆盆栽を撮影するのは、たぶん1週間で挫折します。私ならします。「今日は疲れたから明日まとめて」と言い出して、そのまま忘れる自信があります。
でもラズパイは文句を言いません。私の気分や体調やモチベーションに一切関係なく、ただ淡々と決められた仕事をこなしてくれる。この”続ける力”こそが、実は自動化の本質なんだと気づきました。
副業で結果が出ない最大の理由って、ノウハウ不足じゃなくて「続かないこと」じゃないですか。毎日1投稿、毎週1記事、毎月1リリース——頭では分かっていても、人間の意志力では難しい。そこをラズパイに肩代わりさせるという発想が、ものすごく効くんです。
② “積み上がる”ことの気持ちよさを知る
毎日ほぼ同じ写真が並ぶだけで、「これ意味あるのかな」と思ったくらいです。
2か月経って芽がでないので、豆盆栽を買いなおし。また自動で写真を撮り続ける。LINE通知見るたびにドキドキしています。
これは豆盆栽だけの話じゃありません。ブログのアクセス解析、自作曲の再生数、YouTubeの登録者数——あらゆる副業の”成長”は、記録を積み上げて振り返ってはじめて見える。ラズパイはその記録係として、文句ひとつ言わずに働いてくれます。
③ 失敗してもいい”練習台”が手に入る
3つ目は少し違う角度の話です。豆盆栽の自動撮影って、失敗しても誰も困りません。1日撮れなかったところで何の損失もないし、コードがバグっても怒られない。
この「失敗が許される題材」を持っていることが、実はラズパイを育てていく上で決定的に大事でした。いきなり本番の副業タスクを自動化しようとすると、怖くて手が出ません。でも豆盆栽なら「壊れてもいいや」と気軽に触れる。その気軽さの中で、SSH接続やcronの書き方やPythonのちょっとした構文を、自然に覚えていけたんです。
気づけば私は、豆盆栽で覚えた技術を使って、毎朝のAI名言通知や毎日のnoteネタ生成まで組めるようになっていました。豆盆栽は練習台であり、同時に先生でもあったということです。

へ~、地味な仕組みから始めるのがいいんだね。

そうなんです。派手な自動化って、大抵は地味な自動化の延長線上にあるんですよ。
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ここまで読んで、「自分の副業に豆盆栽は関係ないな」と思った方もいるかもしれません。でも、伝えたいのは豆盆栽そのものではなく、“定点観測”という発想です。
会社員で副業をやっていると、時間が足りなさすぎて「今日の作業」に追われます。その結果、昨日と比べて何が変わったか、先月と比べて何が進んだかを振り返る時間がなくなる。気づけば「頑張ってる気はするけど、結果が出てない気がする」というモヤモヤだけが積み上がっていきます。
ここにラズパイの定点観測を差し込むと、景色が変わります。毎日決まった時刻に、ブログのPVを記録する。毎日決まった時刻に、YouTubeの登録者数をスプレッドシートに書き込む。毎週決まった曜日に、note記事の売上を集計する。人間が忘れていても、ラズパイは覚えていてくれる。
そして3ヶ月後、半年後に振り返ったとき——豆盆栽のBefore/Afterを見た時と同じ「おおっ」が、自分の副業の数字の上にも訪れます。これこそが、会社員副業者がラズパイから受け取れる、最も大きな贈り物だと私は思っています。
つまり、すさまじい応用の幅に胸が躍る というわけです。
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最後に、この記事の要点を振り返ります。
1. ラズパイを始めるなら、一番地味で失敗してもいい題材から。
私の場合は豆盆栽の定点カメラでした
2. 半年続けて見えたのは、”続ける力”・”積み上がる気持ちよさ”・”失敗できる練習台”という3つの価値
3. 定点観測という発想は、そのまま副業の数字管理にも応用できる。
ラズパイは最強の記録係になってくれる
豆盆栽を撮るだけの仕組みが、気づけば毎朝のLINE通知や毎日のネタ生成まで広がっていく——これがラズパイを1台持つことの本当の面白さだと、今なら言い切れます。
そして、まだ芽が見られません(泣)。芽が出て、育っていく様子を追ってブログを書いていこうと思います。まずは、仕組化したよというところまで。

わしも、何か一つ地味なところから始めてみようかな。

それが正解です。派手な自動化を夢見るより、小さく動かしてみる方が絶対に早いですよ。
サーバー構築手順は、noteの完全ガイドで全公開しています
この記事では「豆盆栽の自動監視を通じて見えたラズパイの魅力」についてお話ししました。ただ、実際に自分の手で動かすとなると、
– Raspberry Pi OSのインストールから初期設定まで
– SSHでの安全な遠隔操作とセキュリティ設定
– カメラモジュールの接続とPythonでの撮影スクリプト
– cronで毎日自動実行する具体的な書き方
– OneDriveへの自動アップロード連携
——といった手を動かすための情報は今後公開していきます。化学系エンジニアだった私が、何度もつまずきながらラズパイでサーバー立ち上げた全記録は既に公開中です。



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